電気防食とは何か?基礎から応用までの詳細を解説
工業設備の維持管理に責任を持つ方にとって、信頼性の高い防食技術を理解し、効果的に適用することは重要な課題です。
特に、電気防食はその有効性が高く、多くの現場で採用されています。
本記事では、電気防食の基本原理とその効果的な適用方法について解説します。
□電気防食の基本理解
*電気防食の原理
電気防食は、電位差を利用した防錆技術です。
異なる金属を電解質中に浸漬させると、電位差から電流が流れ、電位が低い金属(例:亜鉛)が消耗し、電位が高い金属(例:鉄)は防錆されます。
この現象を利用し、鉄を防錆するために亜鉛のような犠牲陽極を用いるのが電気防食の基本原理です。
1:電位差とは
電気防食を理解するには、金属の「電位」について知る必要があります。
電位とは、電子の位置エネルギーのようなもので、電位が低い金属ほど電子のエネルギーが高く、電解質中で電位が高い金属に接続すると、犠牲陽極として働きます。
2:犠牲陽極の働き
犠牲陽極とは、防錆対象物よりも電位が低い金属のことです。
例えば、亜鉛(Zn)は鉄(Fe)よりも電位が低いため、亜鉛が消耗することで鉄が防錆されます。
これにより、鉄が酸化するのを防ぎ、長期間にわたって腐食から守られるのです。
□電気防食の効果的な活用法
マグネシウム合金陽極と外部電源方式
電気防食には、流電陽極方式と外部電源方式の2つの主要な方法があります。
それぞれの方法について、具体的な適用例と効果を紹介します。
1:流電陽極方式
流電陽極方式は、防食対象物よりもイオン化傾向の大きい金属を接続し、電気化学的作用により腐食を軽減する方法です。
犠牲陽極としてマグネシウム合金が使用されることが多く、特に地下タンクやパイプラインの防食に効果的です。
この方式は、犠牲陽極が消耗することで防食対象物を守るため、定期的な陽極の交換が必要です。
2:外部電源方式
外部電源方式は、土壌中に設置した難溶性の通電電極を用いて、直流電源装置から防食対象物に防食電流を供給する方法です。
この方式には、浅埋方式と深埋方式があります。
浅埋方式は比較的浅い土壌中に電極を設置し、深埋方式はボーリングによって深い土壌中に電極を設置します。
外部電源方式は、電源装置を使用するため、長期間にわたって安定した防食効果が期待できます。
3:押込み工法
押込み工法は、近接陽極法を適用した電気防食法です。
この方法は、腐食速度を軽減させるために使用され、狭い空間でも施工が可能です。
農地など地上部からの施工が困難な場合にも適用でき、小型軽量の機材を使用するため、機材搬入が容易です。
□まとめ
電気防食は、工業設備の長寿命化に欠かせない技術です。
その基本原理である電位差を利用し、犠牲陽極を用いる方法や外部電源方式により、さまざまな現場で効果的に適用されています。
特に、流電陽極方式と外部電源方式は、それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることで、より高い防錆効果が得られます。
現場での適用例を参考にしながら、信頼性の高い防食技術を実践してください。
当社では、防食工事で培った経験から、適切な下地処理とポリウレアの選定をいたします。
全国対応していますので、ポリウレアやその他、重防食施工の会社をお探しの工場管理者の方は、お気軽にお問い合わせください。
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